1. 一般的事項
1)日本臨床細胞学会認定施設に勤務する細胞検査士及び細胞診専門医・指導医は日頃から,細胞形態学の学習を志向し,新知識の吸収に努力する義務がある.当該施設は可能な限り,これらの研修などを支援するためには,細胞診業務の担当者に対して年2回程度は研修会出席を積極的に支援することが望ましい.
2)細胞検査士の細胞診検鏡結果に対して,日常的に内部精度管理に努力する.検体の取り違えなどの過誤については,該当事項を記録し,5年間以上保管しなければならない.
3)機器及び試薬の性状を日々確認し,細胞診断業務に支障がないように努めなければならない.また,細胞診業務においては,試薬,染色液などの購入時期,調整日,購入先,製造元などを記録し,保管する必要がある.
4)検査申込書に不明な記載があれば,リスクマネージメントの一環として,直接記入者に問い合わせし,不明事項を検査前に解消しなければならない.
2.内部精度管理ガイドライン
1)細胞診業務に関する基本的事項
(1)細胞診専門医・指導医と細胞検査士が連携して細胞診業務を行っていること.
(2)細胞診専門医・指導医は細胞診実施施設に常勤であることが望ましいが,やむをえない場合,定期的に施設を訪れ,細胞検査士との緊密なコミュニケーションとりうる勤務体制であること.
(3)細胞検査士は常勤であることを条件とすること.
2)細胞検査士の細胞診検鏡の業務量に関する指針
1日の検鏡枚数は,90枚を上限とする(1日の勤務時間を8時間とし,鏡検時間の長さにより按分し,鏡検時間を制限する).
3)細胞診専門医・指導医による検鏡及び判定
(1)陽性例・疑陽性例での報告義務
陽性例・疑陽性例判定報告に関しては,細胞診専門医・指導医が必ずチェックし,いかなる理由があろうとも細胞検査士のみの署名では報告しな い(陽性例・疑陽性例での報告義務).
(2)陰性例に対する細胞診専門医・指導医の対応
@)臨床的に病名診断が必要と判断される細胞診検体(良性腫瘍や感染症など)では,必ず判定を行う.
A)前回細胞診で疑陽性以上の判定が行われ,今回,細胞診陰性であった検体についても判定を行う.
B)細胞検査士が細胞診専門医・指導医の検鏡を求めた細胞診検体についても判定を行う.
3)陰性報告書の署名に関する対応
細胞診陰性報告書には,細胞検査士の署名を行う.
また,細胞診陰性報告書では,一定の割合にて細胞診専門医・指導医の検鏡を求め,判定と署名を受けるように努める.
4)細胞診陰性例でのダブルチェックに関する指針
細胞診陰性と判断された症例については,細胞診陰性例の10%以上を,結果報告前に他の有資格者による再スクリーニングを行うことを基本とする.
5)細胞診結果報告書,細胞診ガラス標本の保存期間に関
する指針
全例の報告書及び細胞診ガラス標本の保存期間は5年間を基本とする.有所見標本(疑陽性,陽性判定細胞診標本)に関してはさらに長期間の保存を念頭に,各細胞診実施施設の状況に応じて個々に保存期間を設定する.
6)細胞診結果報告書の管理に関する指針
細胞診結果報告の管理については,電子媒体による管理を推し進め,既往判定結果の履歴検索などに資することを推奨する.
(1)報告書記載や管理での検証
@)誤字,脱字,記載方法の誤りの検証.
A)記載内容や報告者,報告日などの記載項目が十分かどうかの検証.
B)診断用語の明確さの検証.
C)報告の著しい遅延がないようにチェック体制
をとる.
D)年に1度,報告書を一定の割合で@〜C)についての検証を行い,その結果を記録し,保存する.
(2)報告書の保存と管理
細胞診断を担当する部署では,細胞診断依頼書及び報告書の内容が目的外に使用されないよう,個人情報の管理にあたると共に,5年以上保存しなくてはならない.
(3)臨床診断や病理診断と細胞診断との不一致例の妥当性の検討
@)妥当性があると判断できる場合は,そのように判断するに至った経過や根拠,推測される原因などを記録し,保存する.
A)臨床側や病理診断などの診断的誤謬がある場合には,その記録を残す.
B)細胞診断での診断的誤謬の場合,関係者の合意を得て,結果の修正報告書や訂正報告書を追加発行し,最初の診断報告書と共に保管する.
7)症例検討会の定期的開催に関する指針
(1)開催回数について
少なくとも年に1回は各施設において開催し,そ
の記録を保存する.
(2)地域検討会への参加の推奨
細胞診専門医・指導医と細胞検査士など関係者が少数の施設では,各県支部や細胞検査士会などの合同症例検討会などへの参加も可とする.
(3)症例検討会実施の目的
@)施設における診断能力の維持及び向上.
A)細胞診と組織診での不一致例及び臨床診断との乖離症例の検討.
B)難解症例の検討.
3. 内部精度管理体制の調査・評価の実施
認定施設は,内部精度管理体制の調査・評価のために,施設認定申請書及び年報による申告を行わなければならない.施設認定実施小委員会は申告に基づく調査を行い,現状把握に努める.認定施設は施設認定委員会の調査を受け入れなければならない.また,その報告を学会誌イエローページに公表する.
4. 外部精度管理調査・評価制度の実施に関する指針
認定施設及び所属する細胞診専門医・指導医や細胞検査士の知識・診断能力の向上を目的に,認定施設は外部精度管理調査及び評価のためのプログラムを受けなければならない.
1)開始時期としては平成17年度とする.
2)外部精度管理調査プログラムは,日本臨床細胞学会が主体的に担うことが必要であり,そのプログラムの具体化は,当面は施設認定実施委員会の中,もしくはサブグループにおいて企画し実行する.
説明:この細胞診業務に関する精度管理ガイドラインには,補則としての説明内容が同時に付記されていますが,今回の記事には精度管理ガイドラインの本文のみを記載しました.本文のみでは十分な理解を得ることができない場合には,以下のメールアドレスにお問い合わせをお願いします.
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